ことわざに、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うのがありますね
意味は、恐怖心や疑いの気持ちがあると、何でもないものまで恐ろしいものに見えることのたとえ。
または恐ろしいと思っていたものも、正体を知ると何でもなくなるということのたとえです。
病気にもこれはとても当てはまります
いつも私がレメディーの説明の前にこの病気はどういう症状があって、どのくらいで治るものなのかという話をするのは、症状を知ることで怖いという気持ちを減らしてもらいたいからです。
ホメオパシーのレメディーを選ぶときは、出ている症状を聞き取ることがとても大事です。
とくにお子さんが中耳炎を起こしているときに、お子さんが安心して痛みや不快感、不安な気持ち等が話せるように、お母さんお父さんにはどっしり構えて大丈夫とお子さんに言ってあげてほしいのです。
耳が痛くて不安な子供はお母さんやお父さんが頼りなのです。
さて、中耳炎はどのような病気なのでしょうか
大まかに言うと、風邪→鼻炎→急性中耳炎→滲出性中耳炎→慢性中耳炎等と言う流れがあります。
急性中耳炎
風邪などから鼻炎や副鼻腔炎になってさらに悪化すると細菌感染が起こり、原因菌が鼻腔や咽頭から耳管(中耳と鼻腔とを交通する管)を通じて中耳腔内に侵入することによって、中耳炎が発症します(経耳管感染)。
また、鼓膜に穴がある場合は、洗髪や水泳の後に外耳道側から細菌が侵入して中耳炎を生じる可能性があります(経外耳道感染)
急性中耳炎の症状と診断
急性中耳炎になると、中耳に膿が溜って腫れることで、ズキズキとした激しい耳の痛みが起きます。
また、発熱、耳だれ(耳漏)、耳がつまった感じなどの症状も出ます。
赤ちゃんの場合は痛みを正確に訴えることができないため、機嫌が悪くなったり、ぐずったり、しきりに耳を気にして触ることが多くなることがあります。
急性中耳炎の診断は、耳の中にある「鼓膜」の様子から判断します。
対症療法の現代医学での急性中耳炎の治療
中耳炎を年齢、鼓膜(こまく)の所見、痛みの程度などから
軽症・中等症・重症の3つに分類します。
15歳以下の小児急性中耳炎診療ガイドラインと言う物があって、このガイドラインの大きな目的は抗菌薬の適切な使用によって抗菌薬の効かない薬剤耐性菌の増加を防ぐことです。
ガイドラインによると、軽症の急性中耳炎では3日間は抗菌薬を使用せずに経過をみて、症状が増悪(症状の悪化)する場合には中等症と同様に抗菌薬を内服し、重症の場合には5日間の抗菌薬内服に加えて鼓膜切開の実施を考慮することが推奨されています。
「膿」がたまって鼓膜が腫れている、痛みが強い、熱が高いときは鼓膜を少しだけ切って、たまっている膿を出すと痛みがやわらぎます。
急性中耳炎を何回もくり返す場合(反復性中耳炎)には、何回も鼓膜切開が行われることもあります。通常、鼓膜は切っても、傷は数日でふさがります。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)は、のどと耳をつなぐ管がうまく働かず、耳の中の圧力が低くなってしまい、その結果、まわりの組織から耳の中に液体が染み出して溜まってしまう病気です。液体が耳の中に溜まってしまった結果、耳が聞こえにくくなったりします。
のどと耳をつなぐ管がうまく働かなくなる原因はいくつか考えられますが、子供の場合、
急性中耳炎
急性上気道炎(風邪)
扁桃腺(へんとうせん)の肥大
副鼻腔炎(鼻の中の部屋の炎症)
などが主な原因としてあげられます。
大人の場合は喉の腫瘍(しゅよう)があります。
また、口唇口蓋裂(顔面の先天的な構造的な病気)、ダウン症候群(染色体の病気)、未熟児の方にも起きやすいと言われています。
子どもの難聴や液体が溜まっているサインとしては、
テレビの音を大きくする
いつも声が大きい
呼んでも返事をしないことが多い
耳を良くさわる
などがポイントです。
対症療法の現代医学での滲出性中耳炎の治療
確立した治療はほぼ無く、投薬によって改善するという医学的な証拠は無いと言い切り、基本は継続的な経過観察(症例の状態によって1か月〜3か月に1回通院)というサイトもあります。
また別のサイトでは基本は原因疾患の治療で、成人の滲出性中耳炎の場合は原因となるアレルギー性鼻炎や急性鼻炎、副鼻腔炎の治療を行うことで滲出性中耳炎の治癒が期待できるとしている。(ネットの情報には成人の場合とありますが、私の経験から言うと子供の場合も鼻炎の治療が有効だと思います。ただしホメオパシーでの治療ですが)
原因となる疾患の治療が困難な場合や耳管の働きが未熟な乳幼児、耳管機能が衰えた高齢者の場合は、耳管に代わる中耳圧調節および中耳粘液の排泄の経路を新設する必要があります。一時的には鼓膜切開を行い、滲出液を排液しますが、鼓膜切開孔が閉鎖して滲出性中耳炎が再燃(再び病状が悪化)する場合は、鼓膜チューブを留置する必要があります。鼓膜チューブを耳管の代替とする考えですというところもあります。
参考にしたサイト
https://www.caps-clinic.jp/kyuseichu
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000227.html
中耳炎に対するホメオパシーでの対応
ホメオパシーは症状からレメディーを選びます
レメディーは炎症を抑えたり、痛みを止めたりする物ではありません
炎症は必要があって起こります。
レメディーをとると自己治癒力が触発されて、熱を出し切り、鼻水を出し切り、膿を出し切る方向に働きます。また、ただ出し切るだけでなく、痛みが強すぎるときはちゃんと調節して眠れるように、自己治癒力は働きます。
いろいろその人のペースで出し切って細菌の処理が終われば免疫も出来、簡単に再発することは無くなります。
子供の中耳炎の原因はほとんどの場合風邪や鼻炎に有ります。
それらの症状にレメディーで早めに対応して安静にしてしっかりかかりきり、鼻水や痰など老廃物を出し切ることで、ほとんどの場合防げると思います。
また、鼻炎を慢性化しないために、乳幼児で鼻汁が多く鼻がつまっている場合は、片側ずつ鼻をかむように、根気よく教えるということも大事だと思います。
お風呂ですと湿気で鼻水が出やすくなります。私はよく子供達が小さい頃に鼻が詰まると、お風呂で洗面器のお湯の中に片方の鼻を塞いで鼻から息をフン!と出してみて、とやらせていました。結構出ました。そのうち自分で鼻がかめるようになりました。
下の息子は赤ちゃんの頃から鼻つまりからのひどいいびきと無呼吸症候群があり、しつこい滲出性中耳炎になっていましたが、レメディーを取り始めてから鼻水が出せるようになり、上記のような工夫をしていたらいつのまにか治っていました。
普段からお風呂のお湯の中で片方の鼻を指で押さえてぶくぶく泡を出す遊びをしたり、片方の鼻を指で塞いでティッシュなど軽い物を吹き飛ばしたりする遊びなど、子供が喜ぶ遊びの形にして教えるなど、鼻から勢いよく息を出す感覚をつかむようにする工夫をしてみると良いですよ。
(新生児や乳児の場合は鼻をかむことができませんので吸い取ってやる必要があります。)
中耳炎に対応するレメディー
Acon(アコナイト)
突然起こる耳痛。風邪のひき始めの耳痛。
Arg-n(アージニット)
右から左に移る耳痛
Ars(アーセニカム)
夜中(午前0時~3時)に悪化。化膿性の耳炎。予防接種の後の耳痛。
死に対する恐怖や不安、悲しみの後に起こった耳痛
Bell(ベラドーナ)
ズキズキ ドクドクと脈打つ痛み。耳が赤く、熱くなっている。
熱が高く、赤い顔で目がうるうるしている。
Calc(カルカーブ)
ズキズキする、割れるような耳の痛み。何かが押し出してくるような脈動する痛み。
リンパ腺の腫れとともにある耳痛
Cham(カモミラ)
乳歯が生えるときの子供の耳痛。前屈みになると痛みがひどくなる。
痛みでイライラして怒っている。
Hep(ヘパソーファー)
耳から黄色い膿が出ている。リンパ節の腫れを伴う。喉の痛みとともにある耳痛。
*頻繁に使わないこと!膿が出ているときに朝に1粒だけ(または夜中の痛みに1粒だけ)使って、頻繁に使うのは植物のレメディーに。
Kali-bi(ケーライビック)
左の耳に鋭く縫うような痛み。鼻つまり、副鼻腔炎、ネバネバの黄色い鼻水とともにある耳痛
Lach(ラカシス)
左側の耳痛、または左から右にうつる。嫉妬深い、おしゃべりになる傾向。
Lyc(ライコポディウム)
耳の聞こえがおかしい。ゴーッと言う耳鳴りとともにある耳痛
黄色いネバネバの耳だれ。右から左にうつる耳痛。
Merc(マーキュリー)
臭い、血の混じった耳だれ。外耳道のできもの。薬害からの耳痛。
Puls(ポースティーラ)
子供の耳痛の代表的レメディー。耳の中から外へ押し出されるような感覚。
熱があるのに水を飲みたがらない。お母さんにくっついて離れない。
保育園や湯地園に通い始めてからの耳痛。
麻疹にかかった後の。三種混合の予防接種後の。アデノイド切除後の。
耳が詰まったような感覚。くすんだ緑がかった耳だれ
Sil(シリカ)
耳の中のゴーっと言う音。黄色い、濃厚な、耳だれ全般。鼓膜の破れ。
耳の中の膿を押し出すために。*これもあまり頻繁に使わないこと。
Sulph(ソーファー)
いきなりの化膿性中耳炎。あまり痛がらないが黄色い耳だれが出る。
予防接種の後の耳痛
*これも頻繁に使わないこと!朝に1粒だけ(または夜中の悪化時に1粒だけ)使う。
頻繁に再発する、滲出性中耳炎がなかなか治らないようなときは耳鼻科で定期的に耳の状態を看てもらいながらホメオパスにかかってください。
参考文献
ホメオパシーin Japan 由井寅子著
メディカルホメオパシー スティーブ スミス著
急性疾患をホメオパシーで治す ディディエ グランジョルジュ著
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